呪わしきハムレット4
真っ白なシーツが敷かれたベッドの上、全裸になった俺は、四つん這いになり、後ろから湊を受け
入れていた。
右手はシャッターの雨戸が閉まった窓。
その窓には俺と湊が一つになっている光景が映し出されている。
この体勢って、傍から見たらきっと凄く恥ずかしい光景だ。
しかもかなり屈辱的な姿勢。
さっきから湊は、何度もアレの出し入れを繰り返している。その行為は後孔の入り口と、あと一番感
じる奥と両方を刺激する。
何か悔しいけど……気持ちよすぎ……。
しかも後ろの入り口に、太いそれが出入りする部分もしっかり窓に映っていて……それを見ている俺
も、かなりエロいのかもしれない。
その光景に俺自身は興奮して、透明な先走りが溢れてしまい、湊の手が俺自身に絡んだ時には、先
端がぬるぬるになっていた。
湊もまた同じ事を思ったのか、窓の方を見ながら言う。
「今度、鏡でも買うか」
「───馬鹿」
「お前だって見ていたくせに」
「煩い」
かぁぁっと、俺は耳まで赤くなる。
こんな奥まで湊を受け入れながらも、恥ずかしい思いに駆られるのも妙だけど。
「ベッドの上でもお前は本当に強がるな」
「強がってなんか……あっ……!」
湊が奥まで突いてきた。
しかも腰を強く打ち付けてきて、一番感じる部分を痛いぐらいに刺激する。
「そんなところが可愛いんだが」
「……あっ、……あっ」
俺はカテゴリーに分けたら、可愛いでは決してない。
それなのに、この男と来たら、ここぞという時に、俺のことを可愛いと言う。
それでもって、そう言われるのが心地よくなってしまっている自分がいる。
他の奴がそんなこと言おうものならぶん殴っている所だけど、この人だけは違う。
俺は、本当にこの人が好きなんだ。
湊自身が一度、引き抜かれる。
そして今度は俺を仰向けに寝かせ、身体を重ねてきた。
「洋樹、その顔……俺以外には見せるなよ」
湊の右手が俺の頬に触れる。
身体が火照るように熱い。
「何言っているんだよ。そういう役を演じなきゃいけないときもあるだろ」
「演じているのはいいんだ。だけど……本当のお前は俺だけのものだ」
そういってキスをしてきた。
唾液と吐息が甘く絡み合う。ゆっくり味わうように、湊の舌が口腔内をなで回す。
言われなくても、俺はとっくにあんたのものだ。
だけど───
俺は一度唇を離し、湊の頬を両手で挟み、その顔をのぞき込む。
「あんたも、俺だけのものだぞ」
今の湊は頬が上気して、綺麗な顔が凄く際立っている。
時折、意地の悪い眼差しも、ぞくぞくするほど色気があって───きっと、こんな顔を見ることがで
きるのは、俺しかいないし、俺以外の人間には見せたくない。
「ああ……お前以外に今の俺を見せることはまずあり得ない」
言いながら、首筋に唇を這わせる湊。
ぞくりとした感覚が背中を走り、そしてあそこにまた疼きを与える。
湊の長い指が、後ろの入り口に入り込む。
既に奥まで入れた後のその場所は、指の付け根まであっさり受け入れる。
「あ……湊……」
一番感じる部分を指先で擦られる。
「まだ解れたままだな」
「あ……当たり前だろ」
さっきまで、あんたのが入っていたんだから。
俺は恥ずかしそうに言うと、湊はくすっと笑って。
「嬉しくなるな。俺の所為でこうなったのかと思うと」
「あ……改めて言うなよ。ドスケベ」
「男は皆そんなもんだ」
「俺だって男だ!!」
「お前は経験値が低いんだよ」
「ど……どうせ、俺はあんたしか知らないって」
このやりとり、どっかでしたことがあるな、と途中で思ったけど、かといって止めることも出来ず俺は
顔を赤くして反論した。
すると湊は、指を引き抜いて俺の足を思い切り開いた。
「お前は俺だけ知っていればいい。俺がもっと経験豊かにしてやる」
あ……また意地の悪い眼差し。
本当にこの人、色んな顔がある。
湊自身が、今度は一気に突き立ててきた。
この人は優しく抱くこともあれば、激しく抱くこともある。
時々別人に抱かれている感覚に陥るけれど、この人はベッドの上でも演じていたりするのだろう
か?
そう思いかけ、俺はその考えをすぐに改める。
俺の中で動いて、気持ちよさそうにしているこいつの顔が演技なわけない。
大体、役者だってセーブが効くとこと、そうじゃないトコがあるんだから。
湊自身が、また一番感じる部分を突いてきた。
あ……俺もやばい。
このままだと───
そう思った直後、俺自身は絶頂を迎え、白濁の液を放っていた。
湊自身も、俺の尻を掴み、腰を激しく打ち付ける。
自らの解放感と、湊が打ち付けてきた熱いものが、じわじわと体内に広がるのを同時に感じながら
俺は目を閉じた。
演技をしていない本当の湊自身、色んな顔があるんだろう。
優しい湊、激しい湊……意地が悪い湊。
俺自身……きっとまだ知らない俺の顔があったりするのかもしれない。
湊を翻弄するような───そんな俺になれるもんならなってみたいけどな。
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